蛇香のライラ 第三夜 アラビアン・ナイト プレイ感想

自国シャナーサが舞台の最終巻。メインシナリオ&真相解明編って感じで楽しかったです。

今回のお仕事は王の婚約者の替え玉。

依頼人は暴君との政略結婚が嫌で使用人と駆け落ちしようとしている貴族のご令嬢で、だいぶ頭にお花咲いてます。

正直この娘さんがどうなろうが知ったこっちゃないって感じの超モブキャラですが、シリーンは真面目なので彼女の逃亡の時間稼ぎのため、ライザール王の婚約者(偽)として登城することに。

さらに、義理の弟ジェミルは別件でライザール王の暗殺依頼を受けたらしく…もう面倒な仕事になる予感しかない。

第一夜のターゲットは驚きの難攻不落さ(チョロ甘)だったし、第二夜も驚きの難攻不落さ(変化球ききすぎー!!)だったけど、今回のターゲットは正真正銘の難攻不落(隙を見せれば即死)。特にスリルがあって楽しかったです。官能×三角関係要素も一番濃厚。

ライザール:今回のターゲット。褐色・黒髪・金琥珀の瞳。野性味あふれる大人の色気に王としての風格が加わって、すばらしく格好よかったです。

昼は私欲にまみれた貴族諸侯をあしらいつつ政務をこなし、夜は義賊「ライラ・ヌール」として民の暮らしを守るために心血をそそぐ正当なる暴君。つまり、容赦はないけどとっても真人間。

いやー、ライザール様マジでかっこよかったです。盗賊×王様のコンボは卑怯。相棒である黒豹のカルゥーくらいしか信用しておらず、あまりに敵が多いので見ていて心配になるレベルで孤高の人でした。

ゆえに婚約者に対する興味も好意もゼロ(どころかむしろマイナス)で、政敵が送り込んだ毒入りの生贄くらいの警戒度で接してくるから、代役で後ろ暗さ100%のシリーンめちゃくちゃ不利!

色ごと専門の密偵ヒロインの本領発揮で、お互い手練手管を駆使してガンガン攻め合うのでやってることもはや完全にR18でした。

とはいえ、一応全年齢()なので表現はギリギリスレッスレで抑えて…る??せいか、そんなに生々しさはなく。私はどっちかというと無茶な依頼に奮闘するヒロインと老獪なイケメン王の応酬のハラハラ感の方を楽しんでました。

か弱く無知な令嬢のフリをしても手心を加えられることはなく、ライザール様にやることなすこと徹底的に疑われまくって冷たくされるのですが…

その容赦のなさにむしろときめくし、善政の為に単身奮闘してる王を騙してる罪悪感とすれ違いに胸が痛むというか…すごくとても不毛。

あー!この馬鹿馬鹿しい依頼と胡散臭い店主の頼みごとを全部放り投げたら、あとは普通に惹かれあってうまくいきそうなのに!ままならない!!

…とプレイしながらヤキモキしてたんですが。シリーンのあの盲目的な店主様への信頼と献身が、拾ってもらった事への恩返しではなく、ガチの洗脳由来だったと判明しちょっと驚きました。

高貴な男性が興奮した時の血を採取して来いとか言ってる時点で、心底ねっとり胡散臭かったので…まあ、このクズさは予定調和ですよね(暴言)

そして、ライザール王が昔行き倒れていたシリーンを助けた恩人で、七年前に病弱な王に乞われてすり替わった「偽りの王」だという事実が判明し…

諸々の違和感や謎がきれいに繋がって、めちゃくちゃスッキリ大団円でした。

ずるい!ライザール様設定盛りすぎでほんとズルい!!真打ちにしてメインヒーローは伊達じゃなかった。

ベッタベタで荒唐無稽なご都合ロマン設定だらけなのですが…密偵として危ない橋を渡りながらターゲットと恋に落ちてしまう、というある種なんでもありなファンタジー&王道ベタなドキドキ感が堪能できて大変ツボでした。

カルゥーが死んじゃったのだけは残念。

バッドエンドは相変わらず急ハンドル切ってる転落の仕方だったので、「まあ、こうなる可能性もあるんだろうな」程度で、語るほどの感想がないです(すみません)


ジェミル:シリーンと同じく店主に拾われた義理の弟。裏の仕事を請け負っている唯一の仕事仲間だけど、接点がほとんどなく普段の彼が何をしているか謎。

レースの仮面の胡散臭い暗殺衣装。オッドアイの繊細な容姿と声帯(CV:村瀬歩)。なんかこう…非常に中二魂がくすぐられる美少年です(好き)

義理の姉への恋心と思春期をこじらせてるのか、互いにめちゃくちゃ過保護に心配している気配はするものの、絶賛反抗期でろくな会話がない。本当にない。

顔を合わせると舌打ちを残して即退場するので、名前が微妙におぼえられない私の中で「ジェ…?ジャ…?あー…もうツンデレ舌打ち小僧でいっか」と、仮称が一時期酷いことになってました(ごめんなさい)

ここまでろくに接点がないキャラだったので、ジェミル君のバックボーンには興味津々なものの、義弟キャラが「男として見ろよ!」と一方的に迫っていく定番のアレがあんまり好きじゃなくて。

シナリオどんなもんかなー…と期待と不安半々くらいの状態からスタートしました。

先に攻略したライザール王と途中まではシナリオ共通だったので、某イベントくらいまでは「ほらきたー…逆ギレ押し倒しイベント来たー。(いやでも、あんなの目前で見せらたら酷だわ)」くらいの気持ちだったんですが。

彼の渾身の告白を、風がそよいだ程度の反応でスルーするシリーン姉さんの残酷さに思わずジェミルにめっちゃ同情しました。


「これ、フラグクラッシャーというか、もはやジェミルクラッシャーでは…(戦慄)」と真顔になったレベルでシリーンの対応が酷かったので、俄然彼の恋路を応援してあげたい気持ちになり感情移入度は上々でした(笑)

自白用に使われた媚薬で関係をもつという「もうこれエロゲでは…」な気まずさMAXな恋愛の始まり方はあまり好みではなかったんですが。

ここまで思い切ったやらかし方は乙女ゲームでは逆にちょっと新鮮だし、何よりジェミルがめちゃくちゃいい子すぎて、どうでもよくなりました。

自分がどうあっても男として対象外であり、人を殺して生きてきた汚れた身では名乗りを上げる資格もないので、せめて彼女は綺麗なままで誰かと幸せに…って、その設定義理の弟を拗らせてるネタで私が一番好きなパターン!!!

なにげに彼もライザール王に負けず劣らず設定モリモリでした。

王の隠し子×暗殺者。本来恵まれた立場だったはずなのに、不幸が重なって泥水啜って生きてきた優しい少年の繊細で一途な恋心、良いですよね…(チョロい掌かえし)

まさか、あの苛々舌打ちがシリーンに施された催淫タトゥーに対する過剰な拒絶反応だったとは。

ジェミルが暗殺を生業にしてることすら知らないとかどんだけシリーン鈍いんだ…って思ってましたが、その辺の裏事情に加えて店主の洗脳によって認識がずらされていたのなら、諸々の言動がちぐはぐだったのも納得です。

ただ、養い親と本物の王様の設定はなんだか支離滅裂だったので、そこはもうちょっとだけ整合性とって欲しかった気がします。

託された王子であるジェミルを金に困って身売りするくらいなら、いっそ彼を脅迫材料に王様に金の無心した方が早そうだし、そもそも王様(本物)が大事な息子の状況把握してないの適当無能すぎると思うんだ…

まあ、この作品のモブキャラとサブキャラ、とことん物語に都合のいい存在でしかないので、「まあ、なんか色々思うところがあったんだろ」でスルーしときます。

葡萄が大好きでめちゃくちゃ幸せそうな顔で食べるのに、ちゃんとシリーンに半分残そうとするイベントが可愛くてゴロゴロ転がりました。ジェミル本当健気で優しいいい子だ…

彼が王様に向いているかといわれると、正直よくわからないんですが。頭はいいし後見人がライザール王なので、たぶんどうとでもなりますね。



二重スパイルート:これまでで一番三角関係ぽい流れになったけど、どっちかっていうと真相解明ルートでした。

「プランβアムリタって?」とか「マイルズって誰よ?」みたいな謎がすべて綺麗に繋がるし、それに付随して驚愕の事実も明かされるんですが…ごめん、そこ別にいらなかったかも。


いや、恩人として父のように慕っている店主様が実は不老の研究に傾倒して実験してるマッドクズでした!くらいまでは普通に面白かったです。顔面蛇クリーチャー化もまあ有りです。

でも…ほぼモブに近い扱いだった友人のアイーシャが実は真の黒幕でした!ってのは…いや驚いたしちゃんと伏線はあったので納得もできたけど、悲しいかな、所詮モブに毛が生えた程度の興味と好感度だったので…

急にスポット浴びて暴れられても「ほーん。…いや、別にどうでもいいです。」ってのが本音でした。

あのアイ-シャの狂気を体現したかのような電飾ホルマリン漬けコレクション、せっかくのアラビアンな世界観がブチ壊しになってすごい萎えた…。

肝心の(?)三角関係の方も、二人が大人げなくシリーンを取り合ってるラブコメ関係は微笑ましくはあったんですが。あの展開から「お前やっぱりシリーンだったのか!」ってなられてもなあ…って感じでちょっと消化不良でした。

あのどうしようもないサイコマッドなラスボス二名は放置しといて、恋愛主軸のルートにしてくれたほうが嬉しかったかもです()

連動購入特典のおまけシナリオは…他シリーズ(トリコリティアイズ?ですっけ)のセルフパロディとかだいぶ手抜きだし、ちょっと滑ってたのではないかと。未プレイなせいか絶妙な寒さでした…(すみません)


余談ですが、回想のループ演出が絶妙にシュールで爆笑しました。店主様、その胡散臭い笑顔で何度も温かいスープめっちゃ勧めてくんのじわじわくるからやめて。


最後ちょっとダメ出し多めになっちゃいましたが、話としてはすごくきれいに纏まってたし、本ルートプレイしてる時はめちゃくちゃ楽しかったので、特に不満はないです。ライザール様もジェミルどっちも好き…



~総評~


ねっとり妖しく美しい、ある意味なんでもありなアラビアン世界観で繰り広げられる官能三角関係乙女ゲーム、とても楽しかったです。


各巻攻略対象が二人ずつ。一人はがっつり王道的なシナリオ担当、二人目はそれを補完するような構成。

西洋・東洋・アラビアン…と一巻ごとに舞台がちがうので、それぞれ後半が全く趣の異なる内容になっていて金太郎飴感はほぼなし。

シナリオは短いし急展開で進行するものの、ヒロインの立場が少々特殊なのでわりとハラハラして先が気になるし、意外と細かく伏線が張られていて振り返ってみると「あー、なるほど!」ってなる部分がたくさんありました。

やってることも話の展開も完全にR18なんですが…描写はあからさまになりすぎないようにギリギリのラインでするっと流しているような感じでした。なので、過激といえば過激だけど、ぬるいと言えばぬるい。

三角関係要素も、そんなにフラフラ優柔不断に迷ったり修羅場になる展開はなく。メインヒーロは決まってるけど、もう一人の魅力的なサブヒーロー(あて馬ポジ)ともちゃんと恋愛ができます!くらいの体感でした。

色々と中途半端に感じる人もいそうですが、私は世界観とキャラが好みにバッチリはまって楽しくプレイしました。

早くもswitchやスマホへの移植が決まっていて、正直フルプライスで三巻とも購入した身としては「早っ!?」と思わなくもないですが…クセは強いけどPCだけで埋もれてしまうには勿体ない良作だと思うので、いろんな人が手に取りやすくなるのは良いことだと思います。

衣装差分やUI、章タイトルも凝ってて好きです。おまけギャラリーでちびキャラが動くのかわいい。窓の外にいるシリーンのペットの異様な存在感。アイツでかすぎないです…??

OPの曲は音源化しないのかな…すごい中毒性があるのでちゃんと聴きたい。