ATRI ~my dear moments~  感想

アニプレックスさん発、フロントウイング&枕ブランドのSF青春ノベルゲームです。
 
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ヒロインのアトリちゃんめちゃくちゃ可愛いかったです。 

実は本命は同時リリースの徒花異譚の方だったので、ATRI の情報認識はすごくふんわりした状態でした。

なんか、少年達が寄って集って船とか飛行機の設計にいそしむ、ひと夏のきらめき青春ストーリー的なやつだと勝手に思ってたんですけど…

実際プレイしたら海面上昇による水害で終末世界感あるし、ヒロインはまさかの可愛いロボだしで「うん、全然違うぞ?」って自分に全力つっこみ入れました。

めちゃくちゃSFな世界観だ!これはこれで好み!

絶望に近い諦念と孤独を抱えている少年と、謎多きポンコt…もとい、高性能ヒューマノイドの少女が紡ぐ、切なく優しいひと夏の青春物語。

読みやすく丁寧な文章で綴られていくラブストーリーと、それを魅力的に彩る透明感がある可愛いイラストとBGM。

同時リリースの徒花異譚でも散々叫びましたが、ほんとにこのお値段で遊べてしまっていいんですか??

かたや和風で文学テイスト、かたや恋愛対象がロボットなSF 。どちらもそこそこ癖が強いものの、両作品とも食わず嫌いせずぜひ遊んで欲しい良作だと思います。

別に比べる必要なんてないけれど、強いていうなら私は徒花異譚の方が好みでした。

ただ、美少女ゲームに慣れ親しんでる人なら、たぶん徒花よりもこちらのテイストの方がわかりやすいし圧倒的に馴染みやすそうだと思います。


今回はブラウザ版をスマホでプレイしたので、設定とか全く弄らず、ひたすら読むことに集中してたんですが…

UI 関連の設定がめちゃくちゃ細かく弄れることに最後の方で気づいて感動しました(遅い)

フロントウィングさんのゲーム は今回が初だったので、こんなに至れり尽くせりなシステムなの知らなかった…
 


~以下、ネタバレ満載の長文感想~


ヒューマノイドが普及するくらい科学技術が進化したものの、その後の海面上昇による大陸水没によって土地も資源も失われつつある世界。

主人公の夏生くんが実家の倉庫(海中)に眠る遺産のサルベージを試みた結果、スリープ状態で安置されていたヒューマノイドの少女「アトリ」と出会うところから物語はスタートします。

科学者である祖母の遺した借金返済の為、高値で売却する予定だったアトリ当人から「45 日間だけそばに置いて役立てて欲しい」と願われ、やむなく彼女と共同生活を送ることに。

海の底で眠っていた曰くありげなヒューマノイドの少女との出会い…ボーイミーツガール的にも物語的にも最高に絵になるなあ…(ワクワク)

もうこれ絶対面白いやつ!と、胸をおどらせつつプレイ開始しました。

ただ…正直に申告させてもらうと…中盤まではさほど物語に入り込めず、多少モヤモヤしてました。

夏生くんは幼少時にトンネル崩落事故で片足と母親を失くした義足の高校生。

将来を嘱望されるエリート学生だったのに、資金難と足のハンデによりドロップアウト。

借金により生活が苦しく、とてつもない孤独とトラウマを抱えている設定盛り盛りな主人公なんですが… 

それらの切羽詰まった苦しみが「海面上昇による水害で滅び行く世界」という設定にほぼ無関係なので、やや危機感というか実感が薄い。

さらに、人間にしか見えないアトリを見ても「まじか!気づかなかったわ」とか「高額で売れるけどマスターの許可がないとダメだしなあ」とか、周囲の人たちの反応がなんかふんわり適当。

水没前はヒューマノイドが家電ばりに浸透してたって説明はあったけど…

感情があるロボットってこの世界では「すごい機能が搭載されてるんだね!初めて見た!」くらいの驚きですまされる程度のもんなの…??

そして、警察や政府の支援すら機能しておらず、電気が通ってない環境なのに、住民みんなして倫理道徳がやたら高くて、何やらとても嘘くさい。

なんでスラム化しないで自然派で素朴な田舎町みたいな風体になってんの!?(ひどい偏見)

せっかくいい話なのに、諸々の設定が頭のなかで上手く噛み合わない。消化できない自分にモヤモヤするー!

…とはいえ、海に沈みつつある町の雰囲気は最高に見栄えして浪漫を感じますし、ドロップアウトして諦念を抱えていた夏生くんが、同世代の子供達との交流を通して成長していく青春物語は悪くないです。(むしろ良い)

水没しかけた学校で先生の代理をしたり、水力発電の設計をして電気を灯すエピソードとか「こいつただ者じゃないな!?(すごくとても頭が良い)」って言う彼のバックボーンと人となりが伝わってきてとても好き。

水菜萌ちゃんも竜司くんも凛々花ちゃんも、他モブの生徒達もみんないい子!

それに反して、アトリちゃん…確かに可愛いけどポンコツ&謎が多すぎて、この時点では「彼女こそヒロイン!!」ってほどの感情移入はしきれずでした。

夏生くんが途方もない孤独とトラウマを抱えているのはわかったけど、何でその痛みを癒す相手としてわざわざ機械であるアトリを選ぶのか、(この時点では)理解できない。

ええ…その役割、幼馴染みで常に気遣ってくれる優しい水菜萌ちゃんでは駄目なの…?人によっては彼女のルートがないの本気でガッカリ案件では。

あんな柔らかそうなお胸の性格がいい美少女に慕われてて、何が足りないんだ!まさか、夏生くんまだお若いのにかなりの特殊性癖の持ち主なの…!?(色々謝れ)

個人的には、アトリの序盤のやらかし具合はあまり好ましくなかったです。貴重な食料を産廃に変えるわ、充電式で食事不要なのに夏生くんのご飯たべちゃうわ…

「高性能ですから!」と得意満面でポンコツ無能ぷりを連続披露するアトリちゃんの持ちギャグそんなに刺さらないから、この段階ではヒロインとして認識しづらい。

とはいえ、後から色んな理由がきちんと明かされるであろう(しんどい)気配はあったので、「早く話の転機こないかなー、アトリ途中でめちゃくちゃ可愛く思えるようになるやつでしょこれ…」と物語への信頼と期待は目減りすることもなくプレイしてました。

そしたら、何故かアトリより先に主人公である夏生くんの可愛げが爆上がりした。


……ええー??(困惑)

どっちかといえばスカした根暗クールキャラだったのに、自分の弱さと未熟さを認めて一皮むけた夏生くん、なんかめちゃくちゃ可愛い。人として好感が持てる…

友情のありがたさを噛みしめ、日々の幸せに感謝して真っ直ぐに恋をする純情少年、とても素直でいじらしい。 

しかもピアノ弾けるし頭いいし顔もいい…なんだこいつ、スペック高すぎて若干腹立つな!(褒めてます
)
幼少時から想い続けていたお姉さんがアトリだと判明して感動の再会を果たしたり、そのまま飛ぶ鳥を落とす勢いで告白を受け入れてもらって両想いになったり。

夕日の中で微笑むアトリを見て二度目の恋に落ちる夏生くんとてもドラマチックだし、デートイベントとか甘酸っぱ可愛すぎて悶えました。

ほらー!やっぱりアトリちゃんも可愛いくなった!!(鮮やかな掌返し)

これは、もはや相手がヒューマノイドだとかどうでもいいレベルで運命の恋。ハッピーエンド待ったなしですね!と言う段階まで進んだ瞬間…

「今までのアトリの言動は全部学習機能によるもので、所有者に媚びるためのリップサービスでした」

…という、いたいけな思春期の少年を崖下に頭から叩き落としてミンチにするようなアトリちゃんからの精神攻撃が来て頭を抱えました。

うん…まあ、夏生くんが告白した時は恋を理解してなかったのに、少女漫画読んだ後から急に甘々になったあたりでお察しではありました。

相手がロボである以上そういう展開は絶対くると思ってたし、何なら45 日後に機能停止してお別れなところまで読めますもんね…(こら)

そこをさし引いても、中々に胸に刺さる展開でした。なんてむごくてえげつない振り方するんだアトリ…

でも、浮かれて勘違いをした自分をいっそ殺せレベルで恥じつつも、彼女を責めたり手放そうとはしないあたり、夏生くん本当に本気でアトリに惚れてるんだなあ…とちょっと感心しました。

感情を取り繕わなくなった平坦な口調のアトリちゃん、不気味で哀しいけどようやく本当の彼女と向き合ってる感じがあって中々良かったです。

その後も怒涛のストーリー転換が続き…

実は夏生の祖母ではなく先に亡くなった母親の方がアトリのマスターだったというミスリードの解から始まり、彼女の凄惨な過去は衝撃だったし「やっぱりアトリには心があった」という伏線回収は素晴しかったんですけど。

急に出てきたアトリの製造主…の弟子(誰だよお前)がアトリの過去を暴露して私怨でボコボコにしたり、あんなに意味ありげだった漂流する海洋フロート島「EDEN 」も、苦労して上陸したわりに観光して帰ってくるだけだったり…

少々チープというか唐突すぎて置いてきぼりになる場面もありました。

え?アトリと一緒に島の機能を使って世界救ったりしないの!?※しません
 
というか、こんなすごいものを建造しといて、誰一人活用せず幽霊島と化してるのおかしくない?スポンサーとか開発してた人間が死亡したにせよ、ロケットと同レベルで注目を浴びてしかるべき研究だよ。

うう、すごく申し訳ないけど、惜しい…序盤から散々モヤモヤしていたSF要素の適当さがモロに足を引っぱってる…

マスター(夏生母)を虐め殺そうとしてた奴への制裁で小学生を血祭りにした挙げ句逃走してるのに、「アトリちゃんが悪い子じゃないって皆わかってる」「あの状況じゃ仕方なかったし今さらでしょ」とか…

住民の物わかりの良さ、いくらなんでも都合よすぎてドン引き&ガン萎えでした!人としてもロボとしても普通にヤバイわ。

心を持つヒューマノイドを人と同じ扱いに類するなら、その部分こそしっかり線引きしてけじめつけといて欲しかった。

まあ、そこはあと数日の寿命であるアトリちゃんへの情けとしてスルーしちゃえばいいんですよね。

うん。なんせ間もなく活動限界がくるから、目くじらたてて急いでスクラップにする必要も…

って、わかってたけど最後に本気で容赦ない展開で畳み掛けてきたなATRI !!

ようやく本当の恋人関係になれたのに、起動時間が短くなり、これまでに学習した経験や思い出が徐々にこぼれ落ちていくアトリちゃんと、それを全力で受け止める夏生くんの最後の交流が死ぬほど愛しくて哀しい…!!


「45 日後にお別れ」と言ってた理由を夏生くんは初めからちゃんと理解してたんですね…

あと1日あるけれど、そこまで待つと夏生達との思い出が全て消えてしまうからと、EDEN のコアとして眠りにつく事を選ぶアトリちゃんと夏生君の想いと覚悟が、あまりに美しくて切なくてボロ泣きしました。
  
とても一途でピュアな綺麗な恋物語で、グッドエンドを迎えた時の寂寥感と希望に満ちた優しい余韻が最高に心地よかったです。


エンディングテーマがまたずるい…あんなん涙腺決壊してボロボロになるわ…あと、ロケット打ち上げを独りで見守る夏生くんのイラスト美しすぎる…!!

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…なので、正直トゥルーエンドは蛇足だったかなあと思います。
  
(以下、超個人的な嗜好で消化不良な部分を全力でつつき倒してますのでご注意ください)

トゥルーエンドは、まさかの夏生くんの人生を最後まで見届けられる至れり尽くせりな後日談でした。

その後、夏生くんはアカデミーに戻り研究に身をささげ、水菜萌ちゃんと所帯もって(!?)、沈み行く地球の資源問題に取り組み、「未来」への地盤を築き上げる偉業を成し遂げて。

自分の命の終わりを感じ取ったあと、残り1日の寿命だったアトリを迎えに行き、目覚めさせて電子世界で溶け合ってハッピーエンド。

…うん。

当事者達は全員納得しているし、有言実行してアトリの願いと約束を叶えて迎えに行った夏生くん、ほんとすごいなと思いました。

でも見てるこちらとしては「は?そこまで好きなら、最後まで独り身貫いて純愛で通しとけよ」という失望に似た寂しさも少なからずありまして…

加えて、そんなトンデモSF技術で最終的に結ばれるなら、大元の原因たるヒューマノイドの寿命問題を研究して何とかしようと思わなかったのか??という…

その予防線として「私との幸せより地球を救う事を選んで欲しい」「甘えん坊の夏生さんのこと、水菜萌にお願いします」というアトリの願いが活きてくるんでしょうけど。

再三ツッコミいれた通り、そもそも「世界の終焉」が雰囲気設定すぎて、そこはあまり心に響かなかったんですよね…

「ロボットは心を持たない」という定説を「なんかすごい偶発的な奇跡」でひっくり返したアトリから「寿命があと○日なんです!これはヒューマノイドの構造上の問題で絶対なので、お別れです」とか言われてもなあ…
 
いや、人が造ってるんだから、そっちのがよほど何とでもなるだろ。バックアップとかいう概念はないのか。マジでこの世界のヒューマノイドの構造と技術どうなってんの!?

…なんて、触れてはいけない根底部分にまでツッコミいれたくなる始末。

成長と別離を描くための舞台装置として、諸々の設定を都合よく扱いすぎてるのと、トゥルーエンドの蛇足感は個人的にイマイチだったんですが。

(別にSFにもロボット工学にも詳しくないのに偉そうにすみません!!)

この物語においては結局のところSF要素なんて添え物で、丁寧に積み重ねられた夏生とアトリの美しい純愛ストーリーに心を打たれたのなら、それでじゅうぶんだと納得出来る良作でもありました。

 
寿命も種族も越えて一緒になれた二人は幸せだし、最初から納得づくで夏生くんを送り出した水菜萌ちゃんにも、彼との子供や孫がいるし…とてつもなく大団円な最良の結末!

夏生くんもアトリちゃんも水菜萌ちゃんも竜司くん凛々花ちゃんも大好きです。

あ、でもキャサリン花子さん()は…なんか一番歳上(大人)なのに、言動が話に都合よくブレすぎててあんまり…義足の男子高校生をナイフで脅迫はちょっとなあ…

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